審査講評

中央審査委員長
(一社)全国書写書道教育振興会会長  栁下 昭夫

夢と期待をこめて向上する喜びを

 書き初めは、古くは宮中の儀式として行われ、江戸時代、寺子屋の普及とともに広まり、今では、学校行事としても広く親しまれている、新年には、欠くことのできない日本の伝統的な行事になっています。 全国学生書き初め展覧会も34回を数え、今年も、たくさんのみなさんから、数多くの力作が出品され、心より感謝しております。
この一年どう学ぶか、考えを深め、心を集中して書きあげた書き初めには、みなさんの夢と期待がこめられ、新たな決意を感じます。 毛筆は自由課題ですが、やはり、みなさんの思い、心にしみる言葉を選ぶようにしたいものです。選んだ言葉は、正しく整った文字で、配置、配列にも気をつけ、紙面に収まりよく、自分でも納得できる作品に仕上げた時、いきいきと輝いてきます。この書き初め展覧会が、「よし、今年もがんばろう」という意欲になり、新たな力強い歩みの力になっていただければと思います。 硬筆課題は、みなさんが広く社会に目を開き、これからの時代を考え、みなさんの豊かな心をはぐくむお役にたてるようにと考えています。
この書き初め展覧会が、みなさんの考えを深め、書写力を高め、向上する喜びに少しでもお役にたてたらと願っております。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
吉田  宏

言葉は人生を変える力

 第34回全国学生書き初め展覧会入賞の皆さんおめでとうございます。
本年度もいよいよ最後の全国大会成績が発表されました。今学年で挑む最後の成果はいかがだったでしょう?審査を通じて皆さんの作品を拝見するたびに「また上手になっているな、頑張っているな」と学びの成果、努力の結晶が育っていることを感じずにはいられません。
いよいよ、2019年。東京で開催されるオリンピックは2020年、大阪で開催される万国博覧会は2025年と世界的行事が日本で行われます。
そのような世界と日本の歩みを支える皆さんが学ぶ、学校教育の場では、学習指導要領が改訂され、育成を目指す資質・能力として、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の三本柱を元にして2020年から各教科の学びもより一層進化していきます。
国語科における、書写は「知識・技能」に位置づけられ、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」といった言語活動を支える基礎的役割が、より明確になったといえます。
「正しく整った美しい文字」を学び、自国の文字文化の豊かさを身につけた皆さんだからこそ、世界の人々との架け橋を担い、溢れる情報に迷うことなく力を発揮してくれることを期待しております。
最後になりましたが、本年度も全書会大会を開催するに当たり、ご尽力を賜りました関係者の方々、ご指導に当たられる先生方、そしていつも温かいお心で子どもたちを送り出してくださる保護者の方々に感謝申し上げます。


清光書道会理事
氷田 光子

審査を終えて

第34回全国学生書き初め展覧会で受賞された皆さん、おめでとうございます。
年度末の大会で、しかも平成最後の大会でたくさんの作品の中から選ばれ、受賞された事は心に強く残る事と思います。
硬筆は規定課題でした。ます目に書いている小学四年以下の学年で、すべての字を枠いっぱいに隙間なく書いている人が何人かいました。漢字と平仮名ではどちらが大きいのか、小さいのか、手本を参考にして注意しながら書きましょう。平仮名を大中小の三つの大きさに区分するとしたら、「ことめる」は小、「ちら」は中、残りは大というように平仮名の中でも大きさが異なります。漢字も然りです。小学五・六年と中学の罫線に書く時は余白に注意しましょう。一行目は文の始まりなので一文字下がります。二行目からは一文字上げて、三行目、四行目は二行目と高さを揃えましょう。加えて、各行の上下の余白は、下が少し多めの方が良いでしょう。
毛筆は自由課題でした。漢字(楷・行・草・隷・六朝)、漢字仮名交り、古典の臨書、古筆の臨書、用紙も半紙の大きさから半切の大きさまでさまざまな作品がありました。毛筆作品の場合、特に半切などの大きな作品は、仕上がったら床に置いて並べて見るのではなく、壁にはって並べて見る方がどこが悪いかが見付けやすいです。
どのような年号になるのか、新年度も今まで習得した事を活かした、たくさんの作品を期待しています。


日本武道館書写書道手本筆者
西城 研

審査所感

第34回全国学生書き初め展覧会にご入賞の皆さん、おめでとうございます。
学年最後の大会となるので、その集大成として作品を仕上げた方も多いのではないでしょうか。皆さんの努力の成果がよく現れた作品ばかりでした。
ここまでの優秀な作品が審査に並ぶと、どうしてもバランスの崩れた字や自信のない書きぶりが目についてしまいます。得意な字は磨きをかけ、苦手な字は少なくなるよう、練習方法を工夫してみるのも良いかと思います。
今回の審査にあたり特に感じたことをいくつかあげてみます。筆記具の扱い…
硬筆の部では、鉛筆・ペン共に筆記具の扱いが上手な人の作品が、群を抜いていました。
筆勢・筆圧について…中学生以上ではペンでの出品が多かったですが、字形に重点を置いているからか、運筆の緩急や線の強弱がなく、躍動感のない字に見えるものもありました。書き込むことで良いリズムで書けるようになると思います。
筆使いと余白…特に小中学生の毛筆作品では、正しい筆使いで書かれた作品の線がとても美しかったです。また、余白や中心の取り方が良い作品が多くありました。文字以外の大事な要素ですので、今後も意識してほしいと思います。
臨書作品について…高校生・大学生の作品は臨書が多く、そのレベルの高さが際立っていました。しかし、書き初め展としては、臨書ばかりではなく、新年らしい内容の創作作品も増えることを期待したいところです。多くの素晴らしい作品に出会え、審査する眼が幸せな審査会でした。皆さんこれからも良い字を書き続けて下さい。


(一社)全国書写書道教育振興会副会長・日本書写書道検定委員会会長
吉田 享子

文字と心

本年度の最後、そして平成最後の本大会をめざして出品してくださった皆さん、ご出品いただきありがとうございます。今回も素晴らしい作品に目を見張りました。
審査にあたり感じましたことは、上位に残っている作品は一文字づつの文字の完成度もさることながら、作品としてのまとまりが良いことが重要であるということでした。どんなに技術的に完成している作品でも、中心や文字同士の間隔、大きさなどが用紙の大きさにあっていないと、作品が引き立ちません。作品仕上げの最後に、そうしたことを考えてまとめてください。

年賀はがきコンクールの受賞の喜びに、「字には人の心が表れます。美しい文字が書けることは、すごい宝ものを持っていると思います。大切にしてね。」と学校の先生よりお祝いの言葉をいただき、「心をみがいていきたい」と小学2年生の受賞者の女の子が言葉を寄せてくれていました。美しい日本語を選び、心を込めて書く、、、まさに心が育っていくことと思います。本大会がみなさんにとって、心を込めて文字を書き、心をみがいていく機会になることができたらと心より願います。


日本書写書道検定委員会審査副部長
中里 久乃

日々の積み重ね

第34回全国学生書き初め展覧会で受賞された皆さん、おめでとうございます。平成の年号最後の書き初め展にふさわしい優秀な作品が寄せられました。
毛筆作品は、課題が自由なので語句の選定も重要になります。学年や書き初め展にふさわしい課題が望ましいです。また用紙は、半紙、六つ切り、八つ切り、半切ですが体の小さな幼児や低学年の半切での練習は大変だったと思いますが、上位の作品は半切が多く力強く立派な作品ばかりでした。そして高学年になると、漢字と平仮名のバランス、運筆、線質字形の整った見事な作品が上位を占めていました。
硬筆作品は、自由課題もありましたがほとんどの作品が規定課題でした。上位の作品は、筆圧により線の強弱が出ていて全体のまとめ方も優れていました。幼稚園からの参加が多い幼児の作品は、しっかりとした筆圧で文字の形の整った作品が上位に上がってきました。しかし残念な事に中には、課題がしっかり書けているのに名前が練習不足で順位が下がってしまったものもありました。また、高学年になると用紙が罫線や白紙になるので、余白のとり方なども工夫されていました。特に高校、大学生の作品は、字間行間を考えて線の流れも素晴らしかったです。
毛筆作品、硬筆作品共に皆さんがこの大会に向けて一文字一文字丁寧に練習をして仕上げた思いが伝わってきました。このように小さな頃から身につけた美しい文字は、将来大人になって社会に出た時にきっと役に立つことでしょう。これからも日々の練習の積み重ねを大切にさらなる目標を持って頑張ってください。
来年も皆さんの成長した素晴らしい作品を楽しみにしています。