審査講評

 「よい手本を参考に心をこめてていねいに書く」

審査委員長

一般社団法人 全国書写書道教育振興会  会長 柳下昭夫

 

「全国ひらがな・かきかたコンクール」も、30回という記念すべき年を迎えることができました。大阪地方を中心に発生した大地震、西日本を襲った豪雨と被災、そして猛暑と、さぞ大変だったろうと心配しておりました。しかし、多くのみなさんから熱心に書きあげられた作品を出品していただき、感謝しながら審査をいたしました。一枚一枚の作品を見ていると、とめ、はね、はらいに気をつけ、字形を整え、心を集中して書いているみなさんの姿が伝わってまいりました。

 ひらがなは、中国から伝えられた漢字をもとに、日本のことばを表わしやすいように、書きやすく美しい文字として日本人がつくりあげた世界に誇る文字文化です。「ひらがな」は、幼児期からでも練習できるということは、とてもありがたいことです。そして、この幼児期から小学校低学年の時代に身につけた「ひらがな」の力は、実はいちばん大切なのです。どんな手本を参考にし、どういう運筆で書く練習をしたかということが、みなさんの書写力を大きく左右します。よい手本を参考に、「ひらがな」の運筆の特色に気をつけ、心をこめてていねいに書くことが、みなさんの文字力として一生生きつづけます。

 また、文字を、心をこめて書くことは、ことばを学び考える力を深めることにもなります。この「全国ひらがな・かきかたコンクール」が、みなさんの学びの力を高め、生きる力となってくださるように願っております。

 


 

「能力は磨けば無限」

(一社)全国書写書道教育振興会顧問
日本書写書道検定委員会名誉会長   吉田 宏

「全国ひらがな・かきかたコンクール」も今回で30回を迎えました。今回は、日本全国からの出品に加えて、アメリカ、ニュージーランドなどの諸外国からの応募もあり、合計15,862点の出品となりました。

全書会の全国大会は、この「全国ひらがな・かきかたコンクール」が新年度になって初めてのコンクールで、小学校6年生までの皆さんが参加することができる大会です。私たちが生まれて初めて習う『ひらがな』文字は、日常読み書きをする文章の約6割を占めると言われています。ひらがなを「正しく整えて読みやすく書く」ことは文字教育の原点であるとの観点から、本コンクールでは、各学年の一位と認められた方に『文部科学大臣賞』を硬筆・毛筆の部合計11名の下付をいただいて奨励しています。

どんな大会でも、出品を決めたら一つの課題を練習しますね。一つの課題を書き込むことは書写力の磨き上げにつながります。みなさんの能力は磨くほど輝きを増し、無限の可能性の原点となります。これからも初心を忘れず色々な課題にチャレンジしていってください。

最後になりましたが、本大会を開催するにあたり、ご尽力をいただきました指導者、大会関係者の皆様、いつも温かいお気持ちで子ども達を見守り送り出してくださる御家族の皆様に心より感謝申し上げます。


 

「文字の学びの大切さ」

(一社)全国書写書道教育振興会副会長
日本書写書道検定委員会会長   吉田 琴泉

 

受賞者の皆さん、おめでとうございます。特に金賞以上に入賞された皆さんは、全国でもトップレベルの実力が認められました。みなさんの大人顔負けの作品は、本当に素晴らしいものでした。

文字はとりあえず書ければいい、かもしれません。でもその文字を正確に書く、整えて書く、美しく書く、心を込めて書く、という事には多くの学びがあります。たった一文字書く中にも、こうしたたくさんの事を心がけながら書くには、大変な能力が必要になります。近年言われるようになった学習能力とは別に大事な能力、非認知能力(忍耐力・探究心など)はこうしたお稽古事のなかから培われるとも言われます。

本コンクールに参加された皆さんが、幼児・小学生の頃から文字を大切に丁寧に学んでいただいている事は素晴らしいことです。これからもその心を大切に、さらに大きな目標にむかってがんばってください。


 

「硬筆・毛筆の基本的な書き方」

元東京都青梅市立新町小学校教諭   小野 博

 

「全国ひらがな・かきかたコンクール」に入賞された皆さん、おめでとうございます。
第30回という記念すべき節目の年を迎えすばらしい作品が多数出品されたことは、たいへん喜ばしいことです。
今回は、幼年から6年生までの硬筆作品及び毛筆作品の審査をいたしました。

毛筆の特色は、硬筆では理解させにくい、いわゆる毛筆ならではという用具の特性を生かして、文字を正しく書く技能を磨くことができます。硬筆と毛筆の違うところは、例えば、線の長短を比べてみてもミリ単位であることです。硬筆は「線」で毛筆は「面」という特性があります。基本的な書き方を理解するには、それぞれ硬筆・毛筆の利点を充分に生かして取り組むことがたいせつです。

上位の作品は、いずれもすばらしい出来栄えでした。ひらがなが上手に書けることは生涯にわたって手書き文字を使用する上で大切なことであり、また、その技能は一生の宝物でもあります。入賞者の皆さん、これからも一層の練習と努力を継続してください


 

「美しい線は練習を重ねることから」

元東京都小学校国語科書写研究員   小野 千香子

受賞されたみなさん、おめでとうございます。
今回は、練習の成果が現れた素晴らしい作品に出合いました。名まえについては、文字の配置に気をつけて紙面にバランスよく収まれば、もっとよく評価できる作品もありました。
ひらがなは速く書くために、縦に上から下へ流れるように作られた文字ですから、運筆が大事になります。筆圧の強弱に気をつけながら練習を重ねることで、なめらかな美しい線が現れます。

運筆を学ぶために一つの方法として次のようなことを試してみてください。中指に人差し指を添えて、(中指の第一関節を穂の先と思って)圧力が加わるようにして机の上や、テーブルの上などでその手で空画をします。指の感触で筆圧の強弱が理解できます。その時、もちろん、左手を正しい位置に置いて体の重心がくずれないようにします。筆圧の強弱を感じとってください。これは、いつどこででも試せる効果的な方法です。

ひらがなで育てられた私たちは、先人が遺してくれた大きな遺産を後世に伝えるためにも、大事に扱っていかねばなりません。
みなさん、美しい文字が書けるように、今後ますます努力を重ねてください。