審査講評

中央審査委員長 (一社)全国書写書道教育振興会
会長  栁下 昭夫

生きる力-大切な年賀状

 平成最後の年賀状、みなさんは、どんな思いを込めてお書きになりましたか。
年が改まると、親類縁者、隣近所の方々とは新年のごあいさつを交わし、遠く離れて生活する親交のある方とは、年賀状であいさつを交わし、新年の喜びを共にし、心の絆を深めてきました。日本の美しい伝統的な生活習慣です。しかしこうしたお互いのあいさつが近ごろ少なくなっているということは、共に寄り添い支え合って生きてきた日本の地域社会が失われつつあるともいえます。
特に普段なかなかお目にかかれない方々とは年1回の年賀状ですが、近況を伝え合い、新年の喜びを共にし心の交流を深めるかけがえのない機会になっています。私も多くの方々から年賀状をいただきますが、特にいつも気になっている教え子、特に現在社会で活躍し、また教職にあって子供たちに愛情を注いで日夜尽力しているかつての教え子の学生から、家族の様子、指導の工夫など細かに書き添えられている年賀状はうれしいものです。一人一人の学生のみなさんの顔が目に浮かび懐しさ覚え、心が安らぎます。
この全国年賀はがきコンクールも35回を迎え、今年も素晴らしい作品をご出品いただきました。みなさんが心を集中し、ていねいに練習をしているお姿が目に浮かびます。特に毎年出品してくださっているお名前を発見し、進歩向上を目にした時の喜びは格別です。総務大臣賞に輝いた作品は、相手への思いもこめた長文の年賀状でしたが、一字一字にこめられたていねいな字形、線質の美しさ、流れるような行の整え方、紙面構成の美しさは、まさに年賀状の芸術品のようでした。こうして積み重ねられた書写力は、これからの様々な生活に生きる力となり自信と意欲をはぐくんでいくものと思います。このコンクールが少しでもみなさんのお役に立てればと思います。


 

(一社)全国書写書道教育振興会顧問
吉田  宏

目は知識の窓

 第35回 全国年賀はがきコンクール受賞者の皆さんおめでとうございます。
本年も全国より渾身の作品が集まりました。
年賀はがきコンクールは、全書会が主催する年間5つの大会の中で、最も難しい挑戦かもしれせん。
真っ白な、線やマス目のない用紙に、課題全体の配置を考え、文字の軸を捉えて書くと言うのは、小さいお友達はもちろんのこと、一般の方々まで細心の注意を払う必要があります。整った美しい文字を書くには細部にこだわることも重要ですが、言葉や文章を感取し作品全体を紙面に収め書き上げる力を養うことがあります。
コンクールは順位が発表されて、その成績に一喜一憂することがあるかもしれません。しかしながら、結果にとらわれることなく自身の力を磨き、毎年欠かさずに挑戦されている、参加者の方々の作品が実に雅やかであること。これは何ものにも変えがたい学びの結晶です。この名簿に紹介している数々の作品は、学びの道しるべになるものであると感じています。
いよいよ、2020年東京オリンピック開催まであと1年。『平成』は、もうすぐ新しい元号に生まれ変わります。この様な記念や記憶に残る年に遭遇できることは、稀なチャンスです。ぜひ、多くの経験をしてこれからも学びを極めていってください。
最後になりましたが、本コンクールを開催するにあたり、ご指導にあたられた先生方、そして温かいお気持ちでいつも子ども達を見守ってくださるご家族の皆様に心より感謝申し上げます。


(一社)全国書写書道教育振興会副会長・日本書写書道検定委員会会長
吉田 享子

審査にあたり

 平成最後となる本年、年賀はがきコンクールは35回の節目を迎えました。これも出品いただいている皆様、先生方のおかげと感謝申し上げます。
本年もそれぞれに心のこもった作品がよせられ、みなさんの作品に心あらわれる思いでした。また作品の美しさや力強さに、手書きの文字が醸し出す大きな力と意味を感じる審査会でした。
近年手書きをする機会が減り、新年の挨拶としての年賀はがきを出す方が減ってきたと言われています。日本の文化として、日本の心として、年賀はがきに心を込めて新年の挨拶をしたためるこの文化を、皆さんの力で支えていってほしいと願います。
審査にあたり2点、次回出品の参考にしていただきたい事柄を記しておきたいと思います。
1,小学生の筆記用具については、要項に「鉛筆を使用」との文言があります。
本年数点ペン字の出品がありました。ペン字での出品は大変残念ですが、規定違反となってしまいますのでご注意ください。
2,高校生以上の自由課題について、年賀状としての言葉選びに適しているか どうか、、、ということが問われた作品がありました。年齢に合わせた言葉選びを心がけていただきたいと思います。
新元号をむかえる来年の作品に、どんな元号を書くのかも楽しみに来年の出品をお待ちしております。


元立正大学大学院文学研究科教授
松村 定男

年賀状の歴史

 受賞者の皆さん、おめでとうございます。
今回は、年中・年長・小学校一・二年生の作品を審査させていただきました。上位の作品は、筆圧が良く、力強く書かれていました。また配置も適切でありました。今後中心、上下の余白を工夫すると、さらに良くなる作品が数点見受けられました。
文字を曲がらないように美しく書くには、正しい姿勢が大切です。
1、いすに座る時は、浅めに座り、後ろにもたれかからないようにする。
2、両足は足裏全部を床につける。
3、背筋をのばす。
年賀状で新年を祝う習慣は、明治のはじめごろ始まりました。元旦に年賀状を配達するようになったのは、明治32年からです。お年玉つき年賀はがきは、昭和24年から売り出されるようになりました。
年賀はがきの発行枚数が、平成に入って、一番多いのは、平成15年の44億枚です。
年賀状を毎年書くことによって、ふだんの自分の字の向上につながります。できるだけ多くの人に年賀状を書くようにして、友達を増やして下さい。
来年その成果を期待しております。


女子美術大学講師
加藤 達

審査を終えて

 

 第35回全国年賀はがきコンクールで受賞された皆さんおめでとうございます。
年賀状は伝統的な年中行事として古来奈良時代から伝わり、旧年中にお世話になった人達への「感謝」の想いを表わす事が始まりと言われています。近年では日常書くことも少なくなりその数も減少をたどる一方、パソコンなど情報機器の性能の向上によって容易に体裁よく作成できるようになりました。しかし手書きによる年賀状はどこか親しみを感じ、手作りの温もりを覚えます。
今回審査を担当させて頂き、一文字に心を込めて真剣に取り組む姿勢を皆さんの書写能力の高さに感動しました。特に上位の作品は字形はもとより線質が映え、整斉の中に運筆の美しい流れが貫通しており、全体の構成においてもバランスの取れた配置と自信に溢れた筆致が見られました。どの作品にも基本に忠実に書く心、文字を重んじる心、皆さんの心に宿る思いが紙面全体に表われており、改めて手書き文字の重要性を感取します。
今年は元号が新しく変わります。気持ちも新たに「感謝」の想いと年頭の心意気を込めてまた素晴らしい年賀はがきを期待いたします。


 

日本書写書道検定委員会審査副部長
中里 久乃

心をこめて

 第35回全国年賀はがきコンクールに入賞された皆さんおめでとうございます。
今年も心のこもった多くの素晴らしい作品に出会えてうれしく思います。今回は主に小学三年生から六年生を審査させて頂きました。日頃の練習の基礎基本がしっかりできていて、一文字一文字丁寧に書いている様子が伝わってきました。一年間の成長の大きい小学生ですので、作品も一学年の差で大きな上達の差を感じました。
審査をしていて気づいた点がいくつかあります。
まずは文字の配置配列です。作品を初めて見た時の全体のバランスが大切です。上下の余白、左右の余白を見て名前の位置までよく考えると良いです。下の余白が狭すぎる作品が何点か目立ちました。
次に文字の大きさです。漢字と平仮名のバランスに気をつけて、賀詞を少し大きめにしっかり書くと良いです。
そして最後はやはり字形の整った美しい文字です。文字の中心に気をつけて、筆圧や運筆をしっかりと美しい線筆で書いた文字は立派に見えます。今回も上位の作品はお手本に近い見事な作品でした。
近年日本郵便が発行している年賀はがきが年々少しずつ減少していますが、是非皆さんにはこのコンクールで学んだ心をこめた美しい文字の年賀状を書いて送ってください。きっと喜ばれると思います。
来年も今年以上に多くの方々の素晴らしい作品を期待しています。