審査講評

中央審査委員長 (一社)全国書写書道教育振興会
会長  栁下 昭夫

年賀はがきの大切さ

 通信手段が多様化し、年賀状が年々減少しているといわれるこのごろですが、今年の年賀はがきコンクールにも、すばらしい作品が多数寄せられましたことは感謝にたえません。
日本人の繊細な美意識がはぐくんできた美しい漢字仮名文字は、世界に誇れる日本の伝統的文化です。相手を思いやる心情を、心をこめてていねいにしたため、年賀状に託して交換するということは、年の初めのあいさつとして、互いの安否を気遣い、心の絆を深める上でも実に大切なことです。年賀はがきコンクールが、日本の美しい年中行事に少しでもお役にたてればこれほど嬉しいことはありません。特に、高学年、大学、一般の方々の年賀はがきの文字は、さえた線質、美しい文字の流れ、文字の大小の工夫、余白を生かした配置配列の妙が見事で、心を打たれました。ありがとうございました。


元佛教大学教授・文学博士・毎日書道会書教育問題顧問
加藤 達成

新年は魂を込めた手書きの賀状

第33回全国年賀はがきコンクールは、恒例の年始の伝統文化の歴史行事で、全国の方々、海外からの希望の書写・書道文化コンクールであり、本年は量より質を重んじた格調の高い理想に向けたコンクールとなった。本会の向う所、常に世情と書学を踏まえた、中庸精神に不易流行を重視された計画と実行に、心より賛意を表します。主催される本振興会の文化発展の貢献と、弛まざる継続への挑戦に万感の敬意を表します。特に名誉会長吉田宏先生の創造力と情熱の大なる叡知溢れる行動力に感服、尊敬の念を厚くします。全くすばらしい人格者、魅力の人です。33回の実績の功労者ですね。
今回も権威ある中央審査会の委員として招聘され参加の栄を得て、著名な先生方とご一緒に、終始緊張と厳粛の中で、各特別賞候補作品を選別、書法を根幹に公正公平を遵守して審査業務に専念しました。  私の担当領域は、次に示す分野で、吉田享子先生と鑑別しました。 一、高等学校の部 文部科学省学習指導要領、高等学校書道科目I・II・IIIに示された指導事項及びその目標を基準とした、毛筆・硬筆による用美一体の表現を尊重して、賀状の主文、添文、歳日(元旦)、氏名をはがき台にバランスある構成法、結構法を、高校生らしい溌剌さと丁寧さを主軸に、変化と統一性を加えて優劣の選別を図りました。年々すばらしい向上、発展を見て驚かされました。本年も素晴らしい出来ばえで、正月の喜々とした勢いの表現と、凛々しく輝いた作品に驚嘆させられました。
入賞おめでとう。 二、大学・一般の部 ○.大学生らしい、表現力の多様化と個性美が、よく調和され、実用美の開花を伺うことができ、書法の相譲相避を見事に表現した作品には品位を感じ、大学での学業に相まって一芸に挑戦、自己実現に精進努力の賀状に感動しました。 ○.一般の部、本年は高齢者の出品、78才のお方の作品は、誠に高尚で、若々しさを感じ他の高齢者の出品作もすばらしい作品で甲乙つけがたく、その完成度は完璧でした。又壮年成人の方々の作品に、文と書のハーモニーが優雅で、品致の作が多く、生涯学習に生き甲斐をかけた立派な賀状に感動しました。
「はがき文化」「魂の絆」の中央審査であったと感激の一刻でした。
ご入賞の皆様 おめでとう。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
渡辺 富美雄

手書き文字のあたたかさ

全国年賀はがきコンクールは、第33回を迎え、充実発展した年賀はがきコンクールでした。
年賀はがきは、新年を祝う風習と共に、年の初めの挨拶であったり、自分の夢や目標などを知らせたりします。色々と書くことを工夫して、書くことも、いただいた年賀状を見るのも楽しみですね。
先日、新聞に「今年頂いた年賀状を見て、やはり、パソコンは手書きにはかなわないと思いました。手書きは味があり、あたたかみが感じられました。」(読売新聞「気流」29.1.23)

今年は、皆さんの5,6学年の作品を主として拝見し、どの年賀状も一字一字丁寧に書いていて、感心いたしました。5,6学年では、はがきの全体との関係に注意することや、文字の大きさや配列、目的に応じて使用する筆記用具を選ぶことなど学んでいきます。年賀状「新年と平仮名との調和、文字の大きさなど工夫して書くと全体のまとまりがよかったと思いました。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
吉田  宏

憧れが夢を実現に導く

第33回全国年賀はがきコンクール受賞者の皆さんおめでとう御座います。今回も全国から多くの作品があつまり、本年は特に高校生以上から一般の方による毛筆細字の作品が秀逸で目を見張るものがありました。長い年月をかけて努力を継続したことにより播かれた種から花が咲いたように感じられる美しい作品ばかりです。

はがきの真っ白い用紙に作品をまとめるということは、大変難しい技術です。紙面に対するバランス、文字の大小、強弱など繊細な部分がとても重要になります。今回受賞された作品のどれをとっても決して運で入賞をされたわけでなく、可能な限り練習を重ねた力が光輝いたのだと感じられます。これからも更に練習を積み、力をつけていただきたいと思っています。
最後になりましたが、本コンクールを開催するにあたり、御指導にあたられた先生方、そして温かい気持ちで、いつも子ども達を見守ってくださる御家族の皆様に心より感謝申し上げます。


文部科学省初等中等教育局教育課程教科調査官・東京学芸大学教授
加藤 泰弘

審査を終えて

第33回全国年賀はがきコンクールにおいて、受賞された皆様、心からお祝いを申し上げます。近年、情報通信が発達し、年賀状の発行枚数も年々減少していると聞いております。一方で、手書きの重要性や価値が見直されてきています。手書きからは、書いた人の息づかいやさまざまな思いが伝わってくるからです。
新しい小・中学校の学習指導要領が今年度中に告示されることになっております。今回の改訂のキーワードの一つに「文字文化」があります。手書きすることは、単なる技能に止まらず、文化であることを広く伝えていくことが重要となっていくはずです。日本は中国から漢字を受容し、やがて平仮名や片仮名を生み、それを交えて書く漢字仮名交じり文を成立させ、世界に類例のない文字文化を作り上げてきました。これからも手書き文化に親しみ、生活を豊かにし、発展させてほしいと思います。今回の審査では、「はがき」という限られた紙面の中で、年賀の言葉をぴたりとおさめ作品に驚き、本コンクールのレベルの高さを実感した次第です。
最後に、このコンクールに関わる指導者の方々、運営されております皆様に心から感謝を申し上げてご挨拶といたします。

 


(一社)全国書写書道教育振興会副会長・日本書写書道検定委員会会長
吉田 享子

ペンの選び方

本年も年賀はがきコンクールに応募いただきありがとうございます。毎年向上していくレベル、またそれぞれに工夫がされている秀逸な作品に感心するばかりです。毎年実力の向上を目指して練習し、慎重に心を込めて作品を仕上げている皆さんの姿が目に浮かびます。
作品の仕上げ方について記しておきますので、来年の参考にしていただきたいと思います。大学生以上の作品のなかにペンの色がブルーというよりうすい水色で書かれていた作品がありました。書かれている線の色のうすさが作品全体をややぼやけた雰囲気にしてしまっているように感じました。ブルーをお使いになる場合は、ブルーブラックなどはっきりとわかる色でお書きになった方が、作品を引き立てるのではないでしょうか。次回の作品もさらに充実した作品が寄せられることを楽しみにしています。


元東京都中学校書写研究会長
浅井 幸夫

文字に託された思い

 年賀状は一年の反省、新しい年への決意や抱負、そして相手への思いをこめた挨拶状で、伝統的慣習です。ところが最近は手軽なメールやツイッターが主流になりつゝあります。横文字の氾濫(あふれ出ること)はメール(=郵便のこと)が別物のような印象を与え、ツイッター(=小鳥のさえずり)が世間を騒がす大きな話題になる変な世の中です。文字により自分の気持ちを伝えるのですから、読めることが前提です。その為には文字を正しく、ていねいに書きましょう。入賞の皆さんはそれが意識的かあるいは無意識の中に出来ているから見る人に感銘を与えるのです。
不特定多数に読まれるツイッターはある意味では無責任なつぶやきです。自分の気持ちを込め、相手を思いやりながら書く賀状の良さを大切にし、これからもずっと続けていきましょう。


元東京都青梅市立新町小学校教諭・課題撰者
小野  博

審査にあたって

第33回全国年賀はがきコンクールに応募され栄えある受賞に輝いた皆さん、おめでとうございます。今回は、小学校中学年の作品を審査いたしました。それぞれ学年の差は歴然としていますが、いずれの学年も上位に入賞した作品は一点一画に気を配り、字形を整えて丁寧に書かれていました。また、線の末端まで筆意が行き届き明るくのびやかなすばらしい作品がそろっていました。作品の上下をわけたのは、行の中心の取り方、配置、余白、氏名の書き方等々、ほんのわずかな違いによるもので、その差は紙一重でした。
前回に続き今回も応募し上位に入賞した氏名を見受けると、1年という歳月を経て、文字が一段と上達したのみならず、心も大きく成長しているという様子がうかがえて頼もしい気がいたしました。今後も一層の努力を願ってやみません。


元東京家政学院大学教授
鈴木 幽峰

”真似る”

今年は中学生の作品を見せてもらいました。点画の接し方、方向、部首の書き方と文字との組み合わせ。文字の形や大きさ、中心の取り方や配列、余白のとり方など審査基準に従って審査をしました。ほんの少し悪いところがあるため、賞にもれた作品も沢山見うけました。絵にしても、音楽にしても、料理にしましても、始めは「真似」から入って上手になります。真似方が上手だとよいのですが、いい加減なやり方ですと、なかなか上達しません。真似3時には確実に、細かいところまでも徹底して、手本と少しも違わないように練習して、最後には手本を見なくても手本と同じに書けるようにする事です。この方法を一回でもやりますと、次からはこの半分位の努力で上手に真似る事が出来ます。最後にもう一つ言いますと、先生の書いているところをしっかりと見る事も大切です。


元文部科学省検定小・中学校教科書筆者
江﨑 美里

審査をおえて

第三十三回全国年賀はがきコンクールで受賞された皆さん、おめでとうございます。  最近はSNSの普及により、お互いの住所を知らせることなくコミュニケーションを取れるためか、年賀状を送らない人が増えているようです。そんな中、このコンクールで手書きの美しい年賀状を審査させていただけたことに感謝いたします。今回は小学校低学年の作品を中心に審査しました。低学年の皆さんにとってマス目のない白いはがきに書くことはとてもむずかしかったことと思います。行の中心が通らなかったり、氏名が大きかったり、「と」が大きい作品が少し気になりましたが、低学年として一画一画の運筆や一字一字の形を大切にして書かれている作品が多くありました。日頃の練習の成果がよくあらわれていたように感じました。次回もたくさんの手書きの美しい年賀状に出会えるのを楽しみにしています。


なの花書道会会長
金子 良惠

審査を終えて

全国年賀はがきコンクールが第三三回を迎えますこと、お慶び申し上げます。
作品から「文字を正しく整えて読みやすく、ことばを大切に丁寧に書く」こと、「一点一画心を込めて書いた美しい文字を見る」ことができ、大変うれしく思いました。
今回は、五・六年生の審査を中心に審査をいたしました。一点一画に気持ちを込めて、丁寧に書いた作品、文字の大小・読みやすい配列・収め方に気を使った作品が目立ちました。さらに、筆圧の強弱、運筆の丁寧さから、書かれているときの姿を見ることができる作品に出会えましたこと、うれしく思いました。
その中に、氏名の位置があがりすぎたり、はがきの下の部分につまりすぎたため、全体のバランスを崩してしまった作品がありましたことは残念に思いました。
これからも、一文字一文字を大切にするとともに言葉としての調和はどうか、氏名の配置はどうか。を考えながら書くようにするとよいと思います。
来年も、多くの素晴らしい作品に出会えることを楽しみにしています。


清光書道会理事
氷田 光子

審査を終えて

受賞された皆さん、おめでとうございます。
ここ数年、年賀状の全体の数がだんだんと減っている中、お正月に年賀状があの人からもこの人からも来ているとやはり嬉しいものです。まして手書きの年賀状となると見入ってしまいます。年賀状は、明治時代からの文字文化の一つです。この文字文化が絶える事なくいつまでも続くよう願っています。
今回は、年中以下と年長の幼児を見させていただきました。はがきの場合、マス目や罫線のない紙面に文字を書くので、特に幼児、小学校低・中学年には難しいと思いますが、作品のひとつひとつがたくさんの練習を積んできた事を思わせるものばかりでした。仕上がった作品を見た時に、書かれてある文字が下がらないよう、余白は上よりも下が多い方が良いと思いました。また、年中以下で上位になった作品は年少の作品でした。年少でありながら文字の中心も通っていて、とめ、はね、払いがしっかり書かれていました。来年もより多くのすばらしい作品を見させて下さい。


元東京都小学校国語教育研究会書写部長
永島 國雄

審査を終えて一言

受賞された皆さん、おめでとうございます。今年は、出品数が例年より少なくなりましたが、甲乙つけ難い上手な作品ぞろいでした。
今回は、小学校3,4年の作品を中心に審査をさせていただきました。罫のない白紙に文字の大きさ・行と行との間隔・行の中心・文字と文字との間隔・紙面に対する上下・左右の空きなどのおさまり方は素晴らしいと思いました。また、上位入賞者の中には鉛筆の筆圧のかけ方、特に始筆・終筆が筆で書いたようでした。ただ、作品の本文はしっかり書いてありますが、学年と氏名の行では、文字と文字の間が狭くなったり、氏名が曲がってしまったりした作品もあり残念に思いました。
次回も皆さんの力作品に出会えることを楽しみにしています。


日本武道館書写書道手本筆者
西城  研

年賀はがきコンクール 審査にあたって

第三十三回全国年賀はがきコンクールに入賞された皆さん、おめでとうございます。
今回は中学生の審査を担当させていただきました。
中央審査にあがった作品は、新年を迎えるにあたっての決意や、新年の清新な気持ちまで反映されたような清々しい作品揃いでした。
二・三年生の作品の中には毛筆作品もあり、その格調高い仕上がりに、感心しながらの審査となりました。
中学生ともなると皆さん字形のとり方がとても上手でした。それでも何に差が出たかというと、上下左右の空間や筆脈、行の中心や線の傾きといった、字形以外の要素で、“こちらの方が良い”と順位の入れ替わりがありました。どうしても字形だけに意識をとられがちですが、それにとらわれず作品全体の見栄えにも意識を置いてほしいと思います。
“見栄え”を意識して練習することで、より良い出来栄えの作品になると思います。更に美しい文字を目指して頑張って下さい。


元立正大学大学院文学研究科教授
松村 定男

雪に耐えて梅花うるわし

受賞者の皆さんおめでとうございます。
今回の作品で、形は大変良く書けていたのに字の配置がよくなかった作品が見受けられました。学年と名前は、わかりやすいようにあけて書く。本文は真中に書く。まっすぐにそろえる。字の大きさを同じくらいに書く(ただし漢字は、ひらがなより少し大きく書く)と、なお一層よい作品になります。
大リーグの名門ヤンキースで活躍した元広島の黒田博樹投手は、西郷隆盛の詩を大切な言葉(座右の銘)として、「雪に耐えて梅花麗し」(梅の花が雪に耐えて、美しく花を咲かせた)を心に持ちました。その言葉を支えに苦労を乗り越えて、野球人生を切り開いていったそうです。
栄光をつかむことは、いろいろな工夫、努力をし、苦労を乗り越えてからできるものです。日常の練習が、次のコンクールのステップアップになるようがんばって下さい。


日本書写書道検定委員会審査副部長
中里 久乃

審査を終えて

入賞された皆さん、おめでとうございます。
今回も幼児から一般、シニアの方までの優劣つけがたいすばらしい作品が揃いました。年賀はがきは、マス目などない真白い用紙に仕上げるのでとても難しいことだと思います。きれいに仕上げるには、上下、左右の余白の取り方、文字の大きさ、形、中心の取り方、名前の配置など考えながら書くようにしてください。
今回は、幼児の作品を中心に審査いたしました。幼児は、出品点数が一番多く、その中の上位の作品はみんな力強くしっかり書けていました。幼児の課題は文字数が少ないので、課題はもちろんですが、名前の大きさや配置の良い作品が上位になったように思います。小さい頃から美しい文字を習い、日常生活にも生かしてほしいと思います。
また来年も多くのすばらしい作品を楽しみにしています。