審査講評

中央審査委員長
(一社)全国書写書道教育振興会会長  栁下 昭夫

心を育て書写力を高める

 「書き初め」、みなさんは、どんな思いをこめてお書きになりましたか。みなさんの思いはさまざまであったろうと思います。特に今年は冬季オリンピックが韓国で開かれる年でもあり、オリンピック出場を目指して練習する選手の姿、決意を語る言葉を目にし、耳にして、みなさんもきっと思いを新たにして書き初め作品を書きあげたことと思います。心を集中し、全力を尽して書きあげた書き初めには、みなさんの晴れ晴れとした充実感を感じ心をうたれました。書き初めは、ただ、書表現の向上を目指すということだけではなく、年の始めに思いを新たにし、学習や自分の将来を考える大切な機会ではないかと思います。最近は、多くの学校が全校書き初めを取り上げるようになりました。この書き初め展が、学校の書き初め展と結びついて、みなさんの書写力、書表現の向上に役立っていけたらこれほど嬉しいことはありません。
毛筆作品では、特に課題を示してはおりませんが、時の課題に即したそれぞれの学年にふさわしい言葉が選ばれ、ていねいに、心をこめたすばらしい作品がそろいました。硬筆作品では、学年にふさわしい、そして、今の時代、大切にしたいと思われる内容を、言葉や文章にしてお示ししました。書き初めは、みなさんの考えや思いを深め、みなさんの生きる力になってほしいと思います。日本の伝統的言語文化としての書き初め展が、みなさんのお力によって、ますます充実発展しますように願っております。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
渡辺 富美雄

文字バランスの美

 第33回全国学生書き初め展覧会で受賞された皆さん、おめでとうございます。
「一年の計は元旦にあり」と言われていますが、今年は節目の年に当たり、平成30年を区切りとして年号が代わります。この記念の年に、多数の作品の中から優秀作品として、受賞なさったことは、さぞかし、お喜びのことと思います。
硬筆作品は課題でしたが、毛筆作品は、自由課題でした。
硬筆課題は、手本を見ながら書きますが、最初は、出題されている作品の一字一字の特徴をよく理解して書くこと。たとえば、行書作品であれば、この字画は、どこに接続していくのか、文字の形体が、どのように変化するのか、点画の長短、線と線との間隔、点画の省略など、行書としての特徴がありますね。それに文字の大小、漢字と仮名の大きさ、配置のバランス、配列など課題があります。全体の文字の流れなど大切なことが多いですね。
硬筆の楷書であっても、文字を美しく書くためには、用具の選択が大切です。どのような用具を使えば、墨色が、用紙に馴染むのか、また、起筆や運筆、終筆がよく書けるのかを考えることが大切ですね。
毛筆は、自由課題ですから文字の数や練習の程度なども参考にして、書き慣れた用紙と文字を考えて書くとよいと思います。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
吉田  宏

努力は報われる

 第33回全国学生書き初め展覧会受賞の皆さんおめでとうございます。
本年度最後の大会にあたり、年間を通じて培われた練習の集大成ともいえる見事な作品が毛筆・硬筆ともに全国から集まりました。
今年は冬季オリンピックが韓国 平昌で開催され、日々白熱した競技が行われています。前回大会の金メダリストであるフィギュアスケートの羽生結弦選手は、今大会も”絶対王者”として前評判も高く、練習を日々積んでいましたが、練習時に大切な足に大きな怪我を負いました。世論は羽生選手のオリンピック出場まで色々な憶測を唱えていましたが、彼は4年に一度のオリンピックという大舞台で見事なまでに復活を果たしました。
競技後に「怪我をして滑れない間に“色々な方法で勉強を深め、フォームやイメージを固めていた”そして“氷の上に戻った時にそれを移した”」とコメントを述べていました。皆さんはどうでしょう?練習が出来ない時、思っているような作品が書けない時でも努力を続けたと言えるでしょうか。人それぞれに試練があり、その大小は関係がありません。勝敗の分岐点は諦めない心の強さにあります。
努力は必ず報われます。それは時として形は変わるかもしれません。しかし、努力の末に培われた、常に前向きに工夫する豊かな心を持つことが生きる力に繋がっていくのです。書写書道の練習の過程で、その力の積み重ねを繰り返すことが生きる力となり、人として自分自身を成長させることに必ずなります。私は皆さんの将来をとても楽しみしております。
最後になりましたが、本大会を開催するにあたり御尽力をいただきました皆様、いつも温かいお気持で学生たちを見守り送り出してくださる御家族の皆様に心より感謝申し上げます。


(一社)全国書写書道教育振興会副会長・日本書写書道検定委員会会長
吉田 享子

継続は力なり

 本年も全国学生書初め展覧会にご出品いただき、ありがとうございました。
本大会は年度の終わりの大会となり、学生のみなさんにとって締めくくりの大会かと思います。また、中学3年生、高校3年生にとって受験間近の大会となり、それぞれ苦労もおありでしょう。でも、その大変な最中に時間を作って作品を仕上げた方々が、栄光をつかんでいることと思います。それぞれのみなさんに事情があり、続けていくことはなかなか大変なことと思います。だからこそ物事を継続する意義もあることと思います。また来年に向かい技術をみがきそれぞれに輝いた作品が、仕上がることを楽しみにしております
最後になりましたが、本大会にお力添えいただきました皆様に心より感謝申し上げます。