審査講評

中央審査委員長 (一社)全国書写書道教育振興会
会長  栁下 昭夫

手書き文字は生涯の基礎学力・国際化への喜び

 今年の書き初め展覧会には嬉しいことが加わりました。台湾から四人の小学生、チリ、フランスの方からも応募があり、この学生書き初め展覧会が、世界に向かって開かれていくことを予感した喜びでした。
今年は特別賞に入れるようにがんばろう、今年は自分でも納得できるような作品に仕上げよう、みなさんの思いは様々であったろうと思います。書き初めは、年の初めに、一年に懸ける思いや決意をこめて書き上げる日本の伝統的な文化です。応募された作品は、どれもすばらしく、みなさんの思いが伝わってくるようでした。特に、国際賞として「特別名誉大賞」に選ばれた台湾の六年生の作品は、字形も線質も習熟し、漢字を共有する友人として力強く感じました。高校、大学生の作品には臨書が目立ちましたが、単に字形を学ぶというより、線質もさえ、気迫がこもって、原典の雰囲気をも伝えていました。こうした古典を継承し、これからの日本の文化に生かしていくことはとても大切なことです。今年の入学試験問題は、大きく変わろうとしています。特に思考力、表現力を重視し、記述式解答を求める問題が目につきます。手書き文字の大切さを改めて考え、書く力を学生時代にしっかりと身につけておくことは、これからの時代に生きる生活の基礎学力であり、教養でもあるということをしみじみ感じます。学生書き初め展覧会が、生涯にわたるみなさんの生きる力となり、みなさんの未来を支える一助になればと願っております。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
渡辺 富美雄

努力と継続

 第32回全国学生書き初め展覧会で受賞された皆さん、おめでとうございます。一年間努力し続けて書いた一枚だったと思います。この続けてきたこの一枚は努力の結晶です。何十枚、何百枚と書いたことと思います。
拝見していると、新年に相応しい文、文字を選び、一年間の努力目標であったり、心に残る言葉であったりと、新年への心構えの作品だったと思います。作品を仕上げた時の気持ちは充実し満足したことでしょう。
◇硬筆作品
硬筆作品は、規定課題と自由課題とでした。しかし、規定課題の作品が多く出品されていました。規定課題は、各学年に即した相応しい文と、今までに習ってきた文字が出題されています。点画の長短や方向、接し方や交わり方、筆順、漢字や仮名の大きさなど、学んできた内容に注意して書くと、自分の納得した作品になるのではないでしょうか。
中には、文字の大きさや、配列に注意すると素晴らしいまとまった作品になるのに惜しい作品がありました。あとは継続と努力で一段と進歩すると思います。全体としては素晴らしい作品が多かったと思いました。
◇毛筆作品
幼年から大学生まで自由課題で、作品の用紙も内容も自由でしたので、実力の差が顕著でした。書き初めに相応しい作品の工夫が大切ではないでしょうか。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
吉田  宏

人に勝つより己に勝つ

 第32回全国学生書き初め展覧会受賞の皆さんおめでとうございます。本大会は皆さんの学年で臨む最後の全国大会であり、学年の集大成ともいえる優秀作品が数多く全国各地から集まりました。本年は、海外に住まいがある日本の方ではなく、台湾からインターネットを見て参加をしてくれた学生さん達がおり、日本だけでなく世界でも努力を惜しまず鍛錬を積んでいらっしゃることに感銘を受け、地域の拡大を更に感じました。
大会でいうと皆さんの身近で感じられることは、スポーツ競技と思いますが、選手の方々は己の技術を磨くために、自分が目標とする他選手のVTRを見て、その研究や技術を学びます。書写書道も同じだと考え、全書会の受賞者名簿やインターネット展覧会では、より多くの作品を掲載するとともに、学年日本一となった方の喜びの声をお届けしています。 学年の集大成である、本大会の作品は大変貴重なものです。名簿に掲載されている自分の次学年にあたる作品や受賞者の声をよく見て、また次回の出品に活かしてみましょう。それは他人と比べると思いがちですが、最高の手本である先輩の作品を見ながら、自分の心を整え、自分自身を見つめる、つまり己との競争となります。そういった姿勢が今後の自分を支える大きな力になると思います。次年度もたくさんの作品をお待ちしています。
最後になりましたが、本大会を開催するにあたり御尽力をいただきました皆様、いつも温かい御心で学生たちを見守り送り出してくださるご家族の皆様に感謝申し上げます。

 

 


(一社)全国書写書道教育振興会副会長・日本書写書道検定委員会会長
吉田 享子

挑戦していくこと

 1月2日はカレンダーにも記されているように、「書き初め」の日です。日本に古くから伝わる伝統文化です。日々新しいものが生まれていく中で、こうした良き伝統が伝えられていくことは文化を大切にするという意味でも大切な事柄でしょう。本年もその書き初めに、心のこもった作品が全国より寄せられました。また本年は外国の方々の出品もあり、改めて日本文化としての書き初めの意味を考えさせられました。
「チャンスは準備のある人に、ほほえむ」という言葉があります。今回受験生あたる、中学3年、高校3年生の皆さんは出品することが大変だったことと思います。その大変さをやりくりして、見事大きな賞に輝いた方もいます。どんな時も自分のできる精一杯の中で、挑戦することに価値があるのですね。
また新年度が始まります。今年の経験をもとにさらに磨きのかかった皆さんの作品にあえることを楽しみにしております。