審査講評

大会委員長 (一社)全国書写書道教育振興会
会長  栁下 昭夫

全国学生書写書道展も40回という記念すべき年を迎え、参加団体も増え、本展が目ざす「文字文化の発展と伝承・書く力の向上」に、大きな成果をあげることができましたことは、ご参加の皆様、ご関係の方々のご理解、ご支援の賜物と感謝にたえません。
本展は、公募と席書によっていますが、特に席書は、全国23会場で行われたその中から優秀作品が選ばれるという、他に例を見ない書写書道展でございます。会場運営にあたられた先生方、ご支援、ご協力をくださったご関係の皆様に心より御礼申し上げます。
席書に参加するということは、単に文字を書くという以上に、人間として成長する上でまたとない貴重な経験ではなかったかと思います。今年はオリンピックの年でしたが、メダルに輝いた選手へのインタビューで、試合に臨む心境を、「緊張・集中・無心の演技」と答えた言葉に強く心をうたれました。おそらく席書に参加されたみなさんも、はじめは緊張し、筆を執り用紙に対した時は心を集中し、筆を運ぶときは、日頃の練習の成果を生かして無心で作品を仕上げたのではないかと思います。オリンピックでメダルに輝いた選手と同じ心境を味わったのではないかと思うのです。この経験を一つの力として、ますます練習を積んでいただきたいと願っています。すばらしい作品をありがとうございました。


査委員長  元佛教大学教授・文学博士・毎日書道会書教育問題顧問
加藤 達成

正然と審査基準を順守した最終審査を振り返って

ご入賞の皆様おめでとう。心よりお喜び申し上げます。
第40回と言う節目の全国書写書道展の中央審査会は25名の審査員によって、公平厳正を目指し、名誉会長・会長を始めとして審査基準の説明を元に正然と審査が行われ、40年と言う重みのある重要な又、歴史を飾る審査会でありました。本展はすばらしい実績を挙げられ、全国に亘り、書道文化と社会教育に貢献された事は極めて顕著であります。
本会の特色である「愛と和」のモットーを縦軸に公募作品が多く、出品団体の増加をみたことは事務当局の御精励によるものと嬉しく思います。
さて、私の審査担当は、大学と高校の作品で、審査に当たられた先生は、吉田享子先生・西城研先生・鈴木世津子先生・古賀知子先生の4名先生方のチームで、忠実と厳正に作品の鑑別を致しました。
○高等学校の部 文部科学省学習指導要領高等学校書道のⅠ・Ⅱ・Ⅲ各教科の公示事項を尊重した臨書、創作表現がより高度化され、多様化した事に、出品者の成熟と高校書道教育の向上に喜びを抱きました。課題である漢字は「博学而篤志」、主として行草、篆隷の書体で、各書体の特質・特徴がよく把握されていました。又仮名は「荒海やさどによこたふ天の河」。俳書で、漢字と仮名の調和、全体構成の工夫、余白の美など仮名特有の特長を随所に美的表現、和様の伝統性が保持されていました。伝統文化が高揚し、個性的な新鮮さを実現された作品群で、各先生方も驚異的に優秀さを感じ、判定を致しました。
○大学の部 大学・専門教育による芸術教育の成果と、その多様性に目を見張ることができました。創造性、智性、感性の豊さが目立ち充実した表現力の作品群でした。不易流行の言葉を重視して、唐様、和様にも配慮、今回の大学の部は未来志向を目指した作品を上位に挙げ、次に品位ある作品を選定しました。
年々、大学生の学識と技法の高度化は甚しく、その伸展は喜ばしい限りでした。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
渡辺 富美雄

課題を考えて

第40回全国学生書写書道展において受賞された皆さんおめでとうございます。今年は、40回で記念の会でした。特に席書作品は、各地域で審査して選ばれた作品で、公募作品は、用紙も文字も自由に書いた作品でした。
主として四、五年生の作品を拝見させていただきました。いずれも努力した優れた作品でした。
席書部門の四年生は「美しい空」の「美」は、横画の長短に画と画との間隔、それに左払と右払との調和など工夫して書く漢字が課題です。上位の作品は、素晴らしい作品でした。五年生は、「空と太陽」で、画数の多い「陽」が課題で、との左右の組み合わせを考えて、調和よく書くことでした。それに画数が多く、縦ながの文字になりがちです。さらに左払いの画の方向、長さ、線の太さを調和よく書く工夫が大切で難しいと思います。
公募作品は用紙の大小、文字など自由で、作品も条幅、半紙などの作品でした。今まで勉強してきた文字を中心に作品にすることがよいと思います。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
吉田  宏

栄光は困難を乗り越えて輝く

受賞者のみなさんおめでとうございます。 今年は四年に一度のオリンピック・パラリンピックがブラジルのリオデジャネイロで開催され、日本選手団は過去最多のメダルラッシュに湧きました。皆さんも興奮したり、感動したりの17日間を過ごされたのではないでしょうか?
卓球 福原愛選手は幼少のころよりメディアに出演し「あいちゃん」の愛称で親しまれたものですが、世界的に立派な選手に成長され、「オリンピックは偶然や紛れで勝つことは出来ない」と大変強いコメントを発言されておりました。世界の大舞台に立ちチームを率いている彼女には並々ならぬ覚悟があった事でしょう。
夏休みに全国を縦断し開催する本大会は、席書・公募と2通りの参加方法があります。席書に参加された皆さん様々な思いを持って決勝当日に臨まれたことと思います。オリンピックと舞台は違いますが、凛とした会場に漂う空気の中、大勢の人の前で、たった2枚の用紙に作品を清書することは並々ならぬ緊張感をもち臨まれたのだと感じられ、どれもが素晴らしく皆さんに一番の賞を贈りたいとも思います。鍛錬に磨きをかけて尽くした力を2枚の半紙に注ぐ。これはほんの僅かな意識の差で、その出来栄えを変えていくのではないかと感じています。結果は大切かもしれません。けれど、この大会に参加すると決め予選から勝ち抜き努力を惜しみなく続け育んだ力、それこそが栄光です。今回の結果に満足をせず、更に新しい挑戦へと進んでくれることを楽しみにしています。
最後になりましたが、大会開催にあたり、会場運営を務めてくださった全国23会場の先生方、ご指導に当たられた先生方、地域の皆様、そしていつも温かいお心でお子さま方を見守り応援してくださるご家族の皆様に心より感謝申し上げます。


東京学芸大学教授
長野 秀章

中央審査会に参加して

第40回全国学生書写書道展で入賞、入選された皆様この度は誠におめでとうございます。この伝統と権威のある学生展で入賞、入選されましたということは、会の理念の一つである文部科学省が示しております小、中、高等学校の学習指導要領の目標と、皆様の作品が合致したということにほかなりません。また、大学生の作品も我が国の生涯学習社会での書道の学びが評価されたことになるわけであります。
昨今のピアノやそろばんなどのお稽古事、とりわけ書道塾や習字塾を取り巻く状況は大変厳しいものがあり、子ども達の一人ひとりの通塾期間も全国的に短期傾向にあり、小学校高学年や、中学校へ通いはじめる頃は通うのを止めてしまうこともよく耳にします。
本会の書写・書道の学習を通して、少しでも多くの皆様に「文字を書くこと」の大切さや、大学や一般社会人になっても「美しい文字」に触れる機会をこれからも続けていただければと思います。
ここまで書き上げられた作品は、ご本人による普段の弛まぬ努力はもとより、熱心な先生方による日々のご指導、さらにご家族はじめ多くの方々のご支援、ご協力があってこそのものと確信しております。
どうぞこれからも今回の受賞を契機として、益々書写・書道の道を進まれることを期待しております。


日本武道館書写書道手本筆者
西城  研 (一社)全国書写書道教育振興会手本筆者

より幅広く学び、作品制作に挑戦する

第40回全国学生書写書道展にご入賞された皆さん、おめでとうございます。 高校・大学の部を審査しての感想を述べさせていただきます。
席書の部では、一つの書体に偏ることなく、漢字かな共バランスよく選出されていました。特に上位作品の線には強い気力を感じました。普段から書き込んでいるかどうかで差がついたようです。大学の部で、課題語句の見落としや誤字といった簡単なミスのある作品がいくつかあったのが惜しい点です。創作の難しいところではありますが、字調べの徹底を図りたいものです。
公募の部では臨書作品が多かったようです。古典の特徴をよく研究し表現された作品は圧巻でした。中には筆法を磨いた創作作品もあり審査を悩ませました。
いつもながらのレベルの高さに感服しましたが、今回はかなの秀作がやや少ないようにも感じました。また、毎年上位に入る方もいて、継続する力の凄さを感じる一方、毎回同じ書体同じ書風の方もいるようです。得意な分野のみを極めていくのも素晴らしいことですが、より幅広く学び、作品制作に挑戦することも書の楽しみの一つではないかと思います。それが実力向上にも繋がるかと思います。


日本書写書道検定委員会会長
吉田 享子 (一社)全国書写書道教育振興会副会長

審査にあたり

受賞者の皆さんおめでとうございます。毎年作品の習熟度が高まり、大会回数とともに皆さんの実力が向上していくことを実感できる多くの作品が出品されました。本大会がただ単に賞を目的とするのではなく、出品者みなさんの実力向上の機会になっていることを大変嬉しく思います。
今年は、高校生以上の公募作品の中に誤字が例年より多かったことが残念に思います。特に草書は線の方向のずれだけでも、課題が本来意味する文字とは別の文字になってしまうこともあります。また仮名についてもやや不自然な形などが見受けられました。作品制作には自分自身の勉強のためにも、きちんと文字調べをされて作品作りにあたっていただきたいと思います。
これからまた来年に向けての研鑽が始まることと思います。さらに高く成長されるための練習をつまれ、今年より充実した作品が寄せられることを楽しみにお待ちしております。
最後になりましたが席書大会の会場運営にご尽力いただきました先生方、ご支援ご協力をいただきました皆様に心より感謝申し上げます。


仏教大学通信教育課程添削指導員
加藤 俶子

中央審査会に参加して

第40回全国学生書写書道展中央審査会に参加させていただき全国各地より、予選を通加されたどの作品も甲乙つけがたい優秀な作品を拝見致しました。
今回私は、小学校六年生・中学校一年生を担当させていただきました。
席書の部では、いつもと違う会場で緊張の中、二枚の用紙に仕上げることは大変な事と思いますが、練習の成果が良く表われて、すばらしい作品ばかりでした。又公募の部では、課題も自由なので、個性のある作品が多く出品されて立派な作品が揃いました。
小学校高学年・中学生になりますと課題の文字数も多く、全体のバランス・余白・筆圧・線質などに気をつけて書くことも大事なことと思われます。
来年への課題として、このような点を改善し、一歩前進した作品にしあげられるよう頑張ってください。今年以上のすばらしい作品に出合えることを切望いたします。


日本書写書道検定委員会審査副部長
中里 久乃

練習は嘘をつかない

受賞者のみなさんおめでとうございます。この大会も今回で40回目を迎え、みなさんの力作が揃い審査も優劣つけがたいものが多かったです。
今回は、小学4年生・5年生の審査を担当いたしました。
席書の部では、本番で2枚で仕上げるという緊張感が伝わる作品もありましたが、練習の成果が出ていて漢字と仮名のバランスが良く全体を上手にまとめていた作品が上位に上がりました。やはり練習は嘘をつかないですね。
公募の部では、課題が自由なので学年に合った課題で、しっかりとした筆使いでのびのび書けている作品が上位になりました。
また、今後に向けて気をつけてほしいのは、課題に比べ名前が大きすぎる作品が、いくつかありましたので、課題とのバランスを良く注意しながら名前を書くと良いと思います。
また来年も、練習を積み重ねてすばらしい作品を仕上げてください。みなさんのたくさんの力作に会えることを楽しみにしております。