審査講評

大会委員長 一般社団法人 全国書写書道教育振興会
会長  栁下 昭夫

伝統文化の継承発展と心をはぐくむ

 全国学生書写書道展も41回を数え、出品点数も増加し、また、台湾の書塾より、小学生から大学生に至る50点の応募をいただきましたことは、この上ない喜びでございます。時に本展は、全国25会場の地方会場の席書会の作品と公募作品を合わせた書写書道展であり、また、松尾芭蕉記念賞をいただけるという他に例を見ない異色の書写書道展であり、書写書道教育の振興発展に大きな役割を果たしているのではないかと思います。本展の運営に当たられる役員の方々、ご理解、ご尽力をくだされた出品者、ご関係の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

 作品は条幅半切作品から半紙まで、また、作品の書体、書風も多彩で、書による創作の喜び、楽しさが伝わってくるようです。また、作品に選ばれた文字、語句も書写するみなさんの思いが感じられ、深い感銘を受けました。書写書道は、単に文字を上手に書くというだけではなく、何を書くか、そこには、みなさんの思いや、文字、語句を選ぶ感性、情緒、美意識がこめられていると思います。一字、一句、精神を集中し、思いをこめて書写するということは、書く人のイメージをひろげ美意識を磨き、豊かな心、生きる力をはぐくんでいくと思います。世界の人々から深い関心が寄せられている日本の伝統文化としての書写書道の充実発展を心より願っております。


査委員長  元佛教大学教授・文学博士・毎日書道会書教育問題顧問
加藤 達成

正整美溢れた出品作品の最終中央審査講評

41回全国学生書写書道展ご入賞の皆様おめでとう。心よりお祝い申し上げます。

 今回の中央審査会は29名の審査委員によって、公平厳正を主軸とした信条を尊び、所管文部科学省関係の指導監督の元で、吉田宏名誉会長始めとして、代表理事の審査基準の説明並びに心得を明解に受承り、正然と審査が行われました。

 本展の発展は、41年と言う歴史と、書写書道文化の向上に貢献を果たされた実績が顕著で、従って全国各地の書道教室や書団体の出品点数の増加を見る重要な教育・芸術の書道展と大成された本展は、「愛と和」のモットーを遵守され、不動の全書会を確立され、誠に喜ばしい限りです。特に今回は海外にその魅力と実績が認められ、台湾から、小学生、中学生、高校・大学生による50名の優秀作品の出品点数には敬嘆致しました。

 さて、私の審査担当は、「大学と高校の部」で、審査に当たられた先生は、吉田享子先生、峰村香先生、戸田文子先生、岡﨑忍先生の4名各先生のチームで、忠実と厳正を旨とし作品の鑑別に当たりました。

◯高等学校の部 文部科学省学習指導要領高等学校芸術科書道IIIIIIの各教科の公示事項を尊重した臨書・創作表現を基準として今回の課題作品及び自由創作作品を対象に、漢字、仮名の分野も各書体の特色等を充分配慮して、作品の全体構成、余白の美、筆勢など個性をも加味した独自性を重視し、作品の優劣を判定しました。高校の部は、古典の伝統性の保持が認められ、又斬新な個性的作品が目立ち、優れた作品群で、本展出品学生の平素の練習による質と量を兼ね備えた努力の結晶と感心させられました。

◯大学の部 心・技・体三位のバランスの成熟した作品群で、大学・専門教育による芸術教育の成果とその多様性に驚嘆しました。

 各書体の特色を把握され、筆者の創造性、智性、感性の豊さが目立ち充実した表現力、個性が、心と技の高揚と不断の精進力に敬意を払わざるを得ません。古典の美を解し、又新鮮な創造性を翔げる作品は、本会出品の大学生の学識と志向性の多なる伸展は、喜ばしい限りで、更に大学教育から生涯教育へと発展向上を図かり、日本文化の高度化は大学の部より拡重発展するものと、本展の意義役目の重要さを自覚して、審査を完了致しました。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
渡辺 富美雄

努力は嘘をつかない

41回全国学生書写書道展は、多くの審査員によって選抜された作品ばかりで、受賞された皆さん、おめでとうございます。この展覧会は、他の展覧会と違い、各地域の席書による展覧会で、優秀な作品として推薦された作品ばかりですから、優劣の差はあまりありませんでした。この席書部門と公募部門との審査でしたが、作品の出来映えは、公募作品の方が努力の跡がはっきりしておりました。

 審査は主として4年生と5年生の作品を見せていただきました。いずれも作品として良くまとまっておりました。4年生では、書写で学ぶことは、文字の形を整えて書くこととか、漢字や仮名の大きさや配列に注意して書くことです。公募作品の中には、仮名の大きさと漢字の大きさを同じ程度に書いたために、名前の書く場所がなくなり、全体作品としてまとまりがない作品となりました。名前も全体のまとまりの一部で、作品全体の大切な役割をしていますから、丁寧に書くことが、作品全体を引き立てることになります。5年生では、文字の大きさや配列、穂先の動きと点画のつながりを考えながら書くこと、4年生で学んだ筆圧にも注意して、筆の強弱による線の太さや穂先との関連も考えることなどによって、作品としてまとめることを考えると、よいように思います。

 公募部門は用紙も文字数、書く言葉も自由ですから、出品するために書くというよりは、普段書き慣れ、継続してまとめた作品を出品して下さればよいのですが、作品としてまとめて出品した作品が少なかったように思います。用紙の大きさや文字数など考えて、学年にふさわしい作品をみせて下さい。


文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官・東京学芸大学教授
加藤 泰弘

審査を終えて

第41回全国学生書写書道展において受賞された皆様、おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。特に特別賞に選ばれた作品は力作ぞろいでした。皆さんが書いた作品の書きぶりを指でたどると、集中して書いている姿がまざまざと目に浮かんできました。
本年3月、小・中学校の新学習指導要領が9年ぶりに改訂・告示されました。その国語科の「書写」の解説では、小学校の低学年において、水書用筆等を使用して点画の書き方への理解を深める指導が新たに示されました。また、中学校の第3学年には文字文化の豊かさに触れて、効果的に文字を書くことが示されています。情報化は今後も一層進展しますが、手で文字を書くことは、あらゆる学習の基礎・基本に位置し、身の回りに広がる文字文化に触れることを通して、生活を豊かにしていくことが一層大切となることでしょう。是非とも、これからも書写・書道の作品づくりに継続的に取り組んでください。
終わりに、本展への出品に当たり、指導を担当されました先生方、また運営を担当されております皆様に感謝を申し上げます。


東京学芸大学教授
長野 秀章

審査所感

41回全国学生書写書道展の審査に当たらせていただき、一言所感を申し上げさせていただきます。

 幼児から大学生、また中華民国からの参加があり、今回も上位賞の作品のレベルは、まさに全国展、国際展にふさわしい内容の高さを感じた審査でした。また本部より公正を期すために予め「審査基準」が示され公平、公正な審査であったことも付け加えさせていただきます。

 各学年上位者の作品を比べて見ると、用筆、字形、字配りどの点を見ても甲乙付けがたい作品ばかりでしたが、その上位者の作品の序列をつける最後の一点は何かというと、書いたご本人の作品を仕上げる際の気概というか、集中力とも言うべき点が紙一重の差となっていたように思いました。

 そのためには、お手本に近づけることだけで仕上げるのではなく、最後はそのお手本の字形や線を超えた自分の力を信じて、自分の全てを出しきって表現したもの、そのような作品が選ばれたように思います。これからもご指導いただく先生方にこの様な点を良くご理解いただき、普段のご指導に当たられることを期待して、審査所感とさせていただきます。


(一社)全国書写書道教育振興会顧問
吉田  宏

「努力の結晶」

受賞者の皆さんおめでとうございます。

本大会は、全国各地で実施される席書の部。そして、国内だけでなく海外からも出品のある公募の部の二部門で実施され、本年も全国よりたくさんの応募がありました。

 夏休みという長い時間をどのように目的を持って過ごすかは、とても大切なことです。大会出品、入賞という目標を心に抱き、努力を積み重ねた様子がどの作品からも見受けられ、審査を終え並んだ作品は清々しい力作ばかりでした。

 一枚の用紙に最大の努力と細心の注意を注ぎ仕上げた作品は努力の結晶です。

たとえ思ったような結果がでなくても、培った力はあらゆる場面で、自分をより成長させる糧に必ずなります。その力を活かし次の夢へ進んでいただきたいと思っております。

 最後になりましたが本大会開催にあたり、中央審査員の先生方、又会場運営をつとめてくださった全国25会場の先生方、ご指導に当たられた先生方、地域の皆様、そしていつも温かいお心で子どもたちを見守り応援してくださる御家族の皆様に心より感謝申し上げます。


仏教大学通信教育課程添削指導員
加藤 俶子

中央審査会に参加して

 第四十一回全国学生書写書道展に入賞されました皆さんおめでとうございます。

 今回中央審査会に参加させていただき全国各地より予選を通過された小学校四年生、五年生の作品を拝見致しました。

 作品を拝見しますと、さすが日、日練習を重ねた力を発揮された作品が多く甲乙つけがたい優秀な作品揃いでした。

 作品には練習の成果が出ていて漢字と仮名のバランスが良く全体を上手にまとめた作品が上位にあがりました。

 今後に向けて気をつけて欲しいのは名前が大きすぎる作品が何点かありましたので課題とのバランスを良く注意しながら書くと良いと思われます。又来年も練習を積み重ね今年以上のすばらしい作品を発表して戴きますよう頑張って下さい。

 今年以上のすばらしい作品に出合える事を切望致します。


日本書写書道検定委員会会長
吉田 享子 (一社)全国書写書道教育振興会副会長

やり抜く力

     目標を達成するためには、主に「忍耐力」「自己抑制」「継続する努力」などが必要とされます。これらの能力を今脳科学では、非認知能力と呼ぶそうです。まさにこの大会に出品されているみなさん1人1人がこの力をつけながら、自分自身の最高の作品作りを達成されたことと思います。そして、今年の結果が土台となり、来年への目標と続いていくのでしょう。

 こうした道筋がみなさんの経験となり、さまざまな場面でいかされていくことと思います。書写書道を通して技術とともに、精神的な力をこれからも磨いていってください。来年もさらに上を目指した作品をお待ちしています。

 最後になりましたが席書大会の会場運営にご尽力いただきました先生方、ご支援ご協力をいただきました皆様に心より感謝申し上げます。


日本武道館書写書道手本筆者
西城  研(一社)全国書写書道教育振興会手本筆者

審査を終えて

 第四十一回全国学生書写書道展にご入賞の皆さん、この度はおめでとうございます。

 今回は中学二・三年の作品を審査させてもらいました。席書の部で最終審査に並んだ作品は、集中力と練習量が窺えるものでした。その中で気になった点をあげてみます。

 中二の「不動の信念」では、重に対して力が大きい、「 イ」 と「言」の高さが不均合、「今」と「心」の中心ズレなど、上下・左右の組み立てでバランスを欠く作品がいくつかありました。

 中三の「健全な精神」では健の最終画の払いの位置が下がりすぎていたり、精神の縦画の方向が曲がっているもの、筆脈は通っているものの払い等の筆遣いが硬く、行書の柔らかさに欠ける作品もあり、惜しく感じました。

 各学年共、手本そっくりに書くというのは容易ではないことですが、そこに、真似るだけでなく、正しい形””正しい筆づかいを理解して書いてほしいと思いました。

 公募の部では、じっくりと書かれた大作が多くありました。課題の語句はそれぞれ違いますが、共通して、文字の大小や中心、氏名の位置に注意すると更に良くなると思いました。

 いろいろ々申し上げましたが、席書、公募共に全体のレベルが高く、実力は拮抗しているようです。更に高みを目指す方は、今回の自分の作品の反省点を考え、受賞者名簿で一つ上の学年の作品もよく見てほしいと思います。そうすれば、次に向けての自分への課題が見えてくると思います。書を楽しみながら頑張ってください。


日本書写書道検定委員会審査副部長
中里 久乃

審査を終えて

第四十一回全国学生書写書道展に入賞された皆さん、おめでとうございます。今年もたくさんの作品が寄せられ、努力の成果を感じられる作品ばかりでした。

 今回の中央審査では、幼児から小学三年生までを担当させていただきました。席書の部では、席書会場で真剣に書いている様子が伝わってくるすばらしい作品でした。公募の部では、課題も用紙も自由で、元気にしっかり書けていました。ただ、元気のあまり用紙から少しはみ出ている作品が数点ありましたので、文字のバランスを考え文字を用紙からはみ出さないように気をつけてください。

 また全体的には、特別賞候補に上る作品は中学生が多く、幼児、小学生低学年が少なかったようです。次回は幼児、小学生低学年の人達にも是非頑張ってほしいと思います。小さな頃から「正しく整った読みやすい文字」を少しずつ身につけていき、皆さんが大きくなってやがて社会人になり身についた美しい文字が役に立つことと信じております。

 来年も努力を重ねて更なる力作を期待しております。